台湾リノベ+文化創意 TJ Creativity-Culture

台湾の文化創意産業(文創)とリノベーションによる地方創生を紹介しています。

台湾リノベ

台湾のリノベーションは、日本のように保存することに固執せず、古い建物を積極的に「活用する」ことに重きを置いている点が特徴である。特に、日本統治時代の建物が多く残っており、これらは台湾の歴史と文化を象徴するものとして再評価されている。

台湾でも、かつては経済成長の過程で多くの古い建物が取り壊される危機に直面していた。しかし、台湾の人々はこれらの建物が「自らのアイデンティティの一部」であることに気づき、保存しながら活用する道を選んでいる。この結果、建物を単に保存するのではなく、現代のニーズに合わせてリノベーションし、地域社会や経済活動に貢献する形で活用する動きが広がっていった。

特にリノベーションの対象となっているのは、日本統治時代の工場跡地、公共施設、日本家屋(日式住宅)である。これらの建物は、台湾の歴史を物語る重要な遺産として位置づけられており、例えば台北の「華山1914文化創意園区」や「松山文創園区」では、かつての工場がアートギャラリーやクリエイティブスペースに再生され、文化創意産業の拠点となっている。また、日本家屋もリノベーションされ、カフェやレストラン、宿泊施設などとして新しい役割を果たしている。

このように、台湾のリノベーションは、過去の建物を「保存」するにとどまらず、現代社会の一部として再生し、地域経済や文化の発展に寄与している。台湾は、古い建物を破壊するのではなく、活用することで自らの歴史的アイデンティティを守り、新たな価値を創造しているのである。

 

近代化遺産保存の推移

1980年代以降

 経済成長期の都市開発による破壊と保存意識の高まり

1987年

 戒厳令1949~)解除により台湾アイディンティ意識の高まり

1999年

 台湾中部大震災を契機に、登録文化財制度の発足

2000年

 公共建設の民間参与促進法の施行

2002年

 WTO加入による産業遺産の破壊と保存運動の高まり

2002年

 国家発展重点計画において、文化創意産業の振興の位置づけ

1982年施行

 文化資産保存法を施行

2002年改正

 文化資産だけでなく、文化性資産を新たに設定

 登録文化財「歴史建築」制度の導入

2005年改正

 保存・修復だけでなく再利用(計画)の重視

 地方からの文化財保存を重視

2016年改正

 記念建築、史跡文化財の追加

 築50年以上の官有建築物や土地について、処分の際の価値評価の義務化