逍遥園は、日本統治時代の1940年(昭和15年)に浄土真宗西本願寺派法主・大谷光瑞氏の台湾における別荘であった。大谷氏は華族であったことから、その別荘は高級でとても個性的なものであり、台湾に多く保存活用されているいわゆる日式住宅(日本家屋)とは大きく異なっている。
戦後は国民党政府に接収され、その周辺も含めて眷村として発展したが、時代とともに老朽化し解体の危険性もあった。保存運動により、2010年には高雄市が歴史建築として指定、リノベーションにより2020年にリニューアルオープンしている。
敷地面積は5520㎡あり、建物は当時の日本の建築様式と台湾の文化的要素が融合した独特の風格を持っており、現在も随所にそれぞれの特徴がみてとれる。建物内には当時の暮らしを再現する展示を中心としていて、カフェも併設されている。2023年には、その保存活用の工夫に対して国家文化資産保存奨を受賞した。
(訪問日2024年4月)
△庭からの外観。日本風ではない。
△丸窓、唐破風、格子窓などの日本的な要素がある。
△反対側(エントランス側)の外観。
△1階の展示スペース。建物や主人の歴史や、当時の物品が展示されている。
△建物の1階にあるカフェ。
△建物の1階にある防空壕。戦争後期につくられた。
△エントランス側のピロティ。台湾の町にあるアーケード風。
△2階にある広間。天井は青緑色のセメントで塗られた船底天井。
△2階にある広間。当時の写真から青白の市松模様も復元。
△2階の座敷。
△2階にある炊事場と流し台。屋根は吹き抜けている。
△書斎に連続している製図室が張り出している。天井は青白の市松模様。
△配置図。