文化創意(文創とも略される)とは、台湾の歴史や伝統文化を活かしつつ、現代の文化と掛け合わせてイノベーションを生み出し、新たな価値のある芸術や文化を創造するものである。その対象はアート、音楽、ファッション、映画、テレビ、ラジオ、出版、広告、博物館、デジタルコンテンツまで多岐にわたり、これらの組み合わせによって建築リノベーションからグッズ、特産品に至るまで、様々な規模や形で新しい価値を発信している。
台湾における文化創意産業は、文化的価値と経済的利益を結びつける独自の発展を遂げている。特に歴史的建築物を活用することにより、これらの建物は単に過去を保存する対象ではなく、創造的な活動や社会的交流を促進する重要な空間資源として再定義されている。台湾では、地域の歴史や文化的背景を持つ建築物が文化創意産業の基盤として活用され、地域活性化や観光振興の中心的役割を果たしている。
文化創意産業において、歴史的建築物のリノベーションは、アートやデザイン、イベント開催といった創造的活動のプラットフォームとして他の分野と密接に結びついている。例えば、台北市の「華山1914文化創意産業園区」では、旧酒工場がリノベーションされ、アート展示や映画上映、音楽イベントの多目的空間として生まれ変わった。同様に、「松山文化創意産業園区」は旧たばこ工場を再利用した施設であり、デザインウィークやクリエイティブマーケットなど国際的なイベントが開催される場となっている。また、嘉義市の「嘉義文化創意産業園区」では、日本統治時代の木材工場が地域のアートやクラフト産業の拠点として再構築されており、高雄市の「駁二芸術特区」では、港湾倉庫がギャラリーやイベントスペースとして利用されている。
そして、台湾で文化創意産業を牽引するのは、台湾政府文化部(日本の文部科学省)である。

文化創意産業の中での歴史的建築物の活用と役割をまとめると、
- 歴史的建築物が過去の遺構としてただ単に「保存」されるだけではなく、現代的な機能や解釈と結びつけて「活用」され、社会に新たな価値を生み出している。
- 歴史的建築物そのものがデザインの一部として評価され、文化創意産業全体の一環としてその意義を高めている。
- 歴史的建築物とそのリノベーションが文化創意産業の「基盤」として、アートやイベント、クリエイティブ活動が展開される「場」を提供し、文化創意産業を支えている。
- リノベーションによる空間デザインが観光客や地元住民を引きつけ、新しい地域経済の振興と雇用機会を創出している。
- 歴史的建築物を活用する手法が、地元の文化アイデンティティをも強化し、文化的価値と経済的利益を両立させるしかけとなっている。
このように、歴史的建築物が文化創意産業を支える土台であり、同時に地域社会や観光業とも連携することで幅広い分野での価値創出に寄与している。台湾の歴史的建築物を活用した文化創意産業は、過去と未来を結びつける役割を果たしており、地域文化の保存と持続可能な経済発展を同時に実現するモデルとして機能している。この取り組みは、文化と経済の融合を目指す他国にとっても重要な参考例となるであろう。
国家発展重点計画(2002)
挑戦2008 国家発展重点計画に「文創産業発展計画」が盛り込まれる
l台湾国内の製造業の減少と失業率の上昇
l産業における国際競争に勝つために、付加価値のある製品産業で付加価値
l2008年までに雇用と生産額を2倍にする目標
関連する施策
2003 文創産業園區計画(5大文創産業園區)
嘉義、台南、花蓮、台北市華山、台北市松山
2010 文化創意産業発展法
2012 文創発展司の設立(地域密着)
2012以降 文創事業はソフト開発に焦点
2019 文策院を設置、海外発信を専門化
2020 デザイン研究所(設建院)を設置