台湾文学基地は、日本統治時代の1920~1940年代にかけて建てられた7棟の日式住宅(日本家屋)群をリノベーションし、台湾文学と歴史的建築を繋ぐ文化施設として、2021年に全面オープンした。
幸町職務官舍群と呼ばれるこのエリア(現在の泰安街、齊東街)は、日本統治時代の総督府の各職位の官僚の宿舎(日式住宅)が集積していた。戦後は、空軍司令官と副司令官の官邸(濟南路の2棟)、国民党の職員寮や台湾銀行行員の宿舎として使われた。1990年以降、取り壊しの危機にも瀕し、地域からのボットムアップでの保存活動が始まったエリアでもある。
北西の1棟は保存状態がよく当時の日式住宅の様子に再現された。その他の棟はほぼ廃墟状態であった。また建設当時から増改築が重ねられていたことから、各時代の生活様式や痕跡を丁寧に読み取り、保存するもの、捨て去るものを見極めながら、現在の材料や技術をうまく活用してリノベされた。
現在、この施設は、文学や文化活動を通じて台湾文学の魅力を発信する場として、市民に開放されている。それぞれの建物は、展示や読書スペースとして利用されている。また、ライター・イン・レジデンス制度により、国内外の作家を招聘し、執筆活動や一般向けの特別講座も行われている。(訪問日:2023年12月)
- 文化資産登録名称:濟南路二段25,27號日式宿舍、齊東街53巷2,4,6,8,10號日式宿舍
- 文化資産分類:台北市歴史建築 建物種類:宅第(住宅)
- 指定登録年月:2004年10月
- リノベ設計:許伯元建築師事務所
△施設のエントランス。
△施設全体でメインの「齊東舎」の外観。
△当時の日式住宅をそのまま再現した「繆思苑」。ライター・イン・レジデンスのスペースとして使われている。
△抹茶カフェ「平安京 Matcha One」が入居するリノベ住宅。
△縁側の部分で、日本の雰囲気を十分に感じさせる。
△八角形の窓と日本的な雰囲気。
△畳の部屋。
△展示空間。
△動物物語の現代的な展示。
△鳥かごの物語の展示。
△当時の防空壕も残されている。
△施設ガイドマップ。
△齊東舎の建物模型。様子がよく分かる。